透明なナメクジと金の飾りに、骸骨のお姫さま/田中修子
 
照りつける、荒涼とした砂漠をよろめき歩きます。
 かたちを変える眩しい雲だけが友でした。
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 いくたび、ガーネット色の夕暮れを見送り、いくたび、がたがたふるえながら、黒い空にうかぶ青の星をかぞえたことでしょう。
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 砂漠のまんなかに、影がありました。
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 その影は、ある一本の、何百年もの枯れかけた大樹でした。澄んだ水のたまったウロをみつけて、そのなかに倒れ込みました。
 ウロのなか、ひざを抱えてぼんやりとしているうちに、森で死に別れた友の亡霊がやってきて、骸骨のお姫さまを仄かに包み込みます。骸骨のお姫さまも、透明なナメクジでさえ、深い、夢も見ない眠りにつきました。
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