透明なナメクジと金の飾りに、骸骨のお姫さま/田中修子
おいでですから、かならずやこの試練をうけてよりよくなられるでしょう」
兵士たちは、ぼうっとした声で言いました。
骸骨のお姫さまは、自分がだれだかよくわからなくなってしまったのです。
からだだけでなく、こころの奥底まですうっと透けてしまって、森へ歩みだしたのです。
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そうして奥方と領主と兵士たちは、城へかえってゆきました。
鏡を覆っていた布はとりはらわれ、もとのうつくしい奥方が映るのでした。
それでも領主は、出産ですこし弛んだ奥方のおなかとお尻のあたりを、やはり盤上の遊戯の合間に、無邪気に囃し立てるのでした。
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骸骨のお姫さまは、たくさんの骨の散
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