透明なナメクジと金の飾りに、骸骨のお姫さま/田中修子
 
きらきらとヒビの入って青い空が幾千幾万にも割れて落ちてくるような声でお姫さまをなじってしまうのです。
 その声をきいても、お姫さまがまた、
「おかあさま」
と泣きじゃくると、じゃけんに払いのけるのでした。
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 やがて、お姫さまが通りすがっても泣くこともなくなって、ただ打たれたような目でじいっと奥方をながめるようになると、奥方は細い糸で首を痛いほどしめつけられるようなきもちになりました。
 魔女の家にいたころの、子どものころの奥方の姿のようだったのです。
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 あたりのひとびとは、領主も兵士もほかのしたばたらきの人々も、そのことに気づかないようでした。そんなことは起こってはいけない
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