透明なナメクジと金の飾りに、骸骨のお姫さま/田中修子
 
色のダリアのように気性のはげしいきりりとした女性で、まいにち外国からやってきた盤上の遊戯とにらめっこしている領主のかわりに、けわしい顔をしながらテキパキと、城をおさめております。
領主は、王さま女王さまにあまやかされた五人兄弟の末っ子です。
 あまやかされた、というのはすこし可哀想なのかもしれません。王さま女王さまは、執務がいそがしく、末っ子にあまり手をかけられず、金銀で末っ子を育てたのです。それで、末っ子は身も心もつめたい金銀のように育ってしまいました。
 奥方は、幼いころからすさまじい魔力があった魔女でした。いいのわるいの、あまたの魔女を生み出した、貧しいけれど生粋の血筋なのでした。北方
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