侵食と同化/「某日」に寄せて/いとう
識の向く角度が、「シジミ」と「某日」では異なっているだけだ。
「某日」で表現されている(話者の)意識のポイントは侵食感にある。
それは「火」であり「音」であり、総体的象徴として「夜明け」であり、
> やがて夜明けが部屋の隅々から
> しみこんでくるでしょうね
に集約されている。
そしてこの侵食感に対する抵抗として、
話者は「同化」という行為を行う。違う、行おうとする。
「同化」あるいは「同化しようとする行為」とは、
侵食してくるもの自体になることによってその侵食を食い止める行為であり、
この行為は、自身を侵食するものと対峙するための手段であり、方
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