アレキサンドライト/1486 106
いつも公園の隅っこで一人で遊んでいる子ども
周囲に上手く馴染めないのか表情はどこか寂しげ
通り過ぎる大人達は誰も気に掛けることもなく
ベンチに腰掛けた僕もまた気付かないフリをしていた
このままだったらあの子はどんな大人になるだろう
風船が木の枝に引っ掛かって大泣きしている子ども
勇気を出して声を掛けて風船を渡してあげたんだ
怯えた表情で目を合わせることもなく受け取って
一目散に逃げるように走り去っていってしまった
このままだったらあの子はどんな大人になるだろう
可能性なんてものはいつだって機会に左右されていて
光を失って原石のまま終わってしまうこともあるだろう
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