アレキサンドライト/1486 106
ろう
ちっぽけな意思で願うのを止めれば音もなく萎んでいき
形を失って未来を失って途方に暮れてしまうだろう
いつもの公園の入り口で待ち構えていた子ども
俯いたままで小さな声であの日のお礼を言った後
差し出してくれたのは不思議な形をした小さな石
宝物なんだと嬉しそうに笑った顔を初めて見せた
このままだったらこの子はどんな大人になるだろう
いつの間にか親しくなって駆け寄ってくる子ども
饒舌になってここでは言えない秘密の話もしてくれた
遠巻きに見て勝手に決め付けていた自分の浅はかさを
反省しつつ日が沈むまで二人仲良く向き合っていた
このままだったらこの子はどんな
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