心の天涯孤独/あおい満月
学んでいた。そんなとき、転機は訪れた。父親と母親の離婚だった。私はもちろん母親についた。父親についていったなら、大学はおろか、高校まで満族に卒業できなくなるところだった。父親のもとにいたなら、今こうしている時間は無かったと思う。
しかし、私は父親と別れてからも、父親を自分のなかから排除しきれずにずっと悩んでいた。強烈におとずれたのは激しい父親コンプレックスだ。だから、一番最初に勤めた会社では苦痛だった。大企業で、しかも自分の父親と同じぐらいの上司や先輩がごろごろいる。
私は普通にしていたけれど、そのなかで人間関係に激しく戸惑っていたことなど誰も知らない。三十も後半になった今は、父親コンプレック
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