心の天涯孤独/あおい満月
ックスもだいぶ落ち着いている。今の職場が大体同い年の女性ばかりだし、仕事さえやっていれば喜ばれるので余計な気をまわさずに済むのだ。母親は、「結婚相談所の事務なんて、すぐ潰れそうな会社、あと三年ぐらいで辞めなさい。四十になったらまた転職しなさい」などと悠長なことを言っている。私には転職する意思はない。今ある仕事を大切に生涯を貫いていく、それが私の生き方だと信じている。結局は父親も母親も、誰一人として私の理解者ではないのだ。私の理解者はただ一人。私の彼だ。彼は教えてくれる。「仕事に貴賎はない」と。どんな小さな仕事も大切にするようにと。私は彼と出会えて幸せなのだ。けれど、自分の家で母親と向き合っていると
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