ジャンヌ・ダルクの築いたお城 少女Aとテントウムシ/田中修子
番に電話をかけた。「祖母を殺したかもしれません」所轄の警察の電話番号を教えられる。「それはいつですか。さっきですか」「私いま、32歳で……小学生のときです」緊張していた年配の警察官の声がやわらいだ。「たぶん小学生の私は祖母が落ちるのを止めたかったんです、でも、とっさに脚に飛びついてしまったんです」私はなぜだかワンワン泣いていた。おばあちゃんが亡くなったときに流したかった涙だった。「大人でも介護中にそういった事故に対応できないことがあるんです。小学生のあなたはいっしょうけんめいだったと思います。それから、こういう仕事をしていますから、犯罪性があるか声を聞いていると分かります。あなたにはそれは感じられ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)