ジャンヌ・ダルクの築いたお城 少女Aとテントウムシ/田中修子
神科にかよって、薬が出るようになって10年になる。
「はよう死にとう、はよう死にとう」というのが、幼い心で抱えきれず脳に傷がついた、フラッシュバックという症状というのも理解できてきた。そのくらい弱っている老人と小さな子どもを二人きりにするのがおかしいらしいということも分かった。あの女が死んでくれて数年、ほとんど薬がなくなったけれど、いちおうそれが聞こるようになれば、薬を再開することになっている。
そうして私はこの頃、自分の体を傷つけたり薬を増やしてはならない事情ができた。
ちょっと前、また「はよう死にとう。はよう死にとう」が聞こえた。もう、捕まえて罰せられたっていい。私は110番に
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