エリカの缶/もっぷ
ういったい何度目のことでしょう)追っていきます。エリカはその言葉の何もかもをゆったりと信じきって、古い順に懐かしんでいるうちに、その日もアネモネと眠りに落ちていきました。もちろん缶のふたを閉じることだけは決して忘れずに。大切なカードを撒いてしまってまさか一枚でも失う――そんな愚かなことはできませんから。そして二人が寝静まった後にあのロゴの灯台は、見守るように、仄かなひかりを放ち続けていたのです。
明けて二十日。エリカが倒れました。朝が来たので、いつものように起きて、自分の昨夜の横着を反省しながら「エリカの缶」を机にもどすために缶のほうへ手を伸ばしたその瞬間に、でした。アネモネはどうしてよい
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