エリカの缶/もっぷ
ました。でも、たちなおることができました」そういうふうにすこしずつ、言葉は増えていきました。エリカはミモザを飾り終えるとまた、カードをそのちいさな手に持って、ごはんの時間も忘れるほどに眺めるのです。カードの、言葉が書かれてあるほうの反対側には、美しい絵が印刷されてあったからです。風景画でした。まったく知らない風景ばかり。(あやしいものではありません)の時には風車が印象的でした。青いような緑色のようなその中間の入り混じったどこまでもの草原に、とても優しげに描かれた風車。もともとエリカは何かしらを疑ったことがなかったので、(あやしいものではありません)をまったく信じました。お返事をと思っても、どこへか
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