エリカの缶/もっぷ
 
えば夏至は、エリカを打ちのめし、まだ初めての九つの頃にはいくどもいくどももういっそ消えてなくなってしまいたい、そして本当に本気で、うわさに聞いていた樹海行きを真剣に考えてもみたものでした。その、一番危険だった時代に耐えて冬至を越えて、エリカにたった一人のほほ笑みも珍しくはなくなった、そんなある年の早春に、突然ミモザの花束は届くようになったのです。

 花束にはカードが添えられていました。最初の年にはただ「エリカさんへ(あやしいものではありません)」とだけ、ありました。その次の年には「エリカさんへ(うけとってくださってありがとう)」その翌年は「エリカさんへ。わたしにはすこしかなしいことがありまし
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