わたしたちの靴下はいつだってずり下がってはいけなかった/そらの珊瑚
だった
わたしたちの友情は一丸となって
ソックタッチによりあっちこっちにくっついた
学校が終わり家に帰って風呂に入る前に
べりりとわたしたちは靴下をはがす
日々の塗りごとのためその辺りの皮膚は傷つき赤く悲鳴をあげている
親にいえば皮膚科につれていかれ
ソックタッチは没収されるだろう
権力者の前では持たざる民は無力な存在だ
それを思えばこんな痛みや痒みはなんということはない
身体の苦痛は信仰をより強固に心にくっつける十字架なのだ
風呂で足首二十センチメートルの場所に
ぐるりとめぐらされた糊状のものを
湯で落とす時
乾いた粘液がぬめりとなって流れていった
諸行無常
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