わたしたちの靴下はいつだってずり下がってはいけなかった/そらの珊瑚
 
無常のことわり通り
数年してS教はあえなく信者を失っていくことになるのだが
その理由として
あのぬめりの気持ち悪さが大きかったのではないかと密かに思っている
わたしたちの友情は
友情と呼んでいたものはどこへ行ってしまったのだろう
ぬめりさえ感じることもなくはがれた先で風に吹かれているのか

毎日不毛とも呼べるそんなことを繰り返すことの出来た
あの頃のわたしたちの真っ直ぐなバカさ加減が
今頃になってひどく愛しい(怖ろしい)のだけど
ずり下がるままにまかせた今のわたしの靴下を(靴下以外のものにも)
ソックタッチで貼りつけまくって引力に逆らってみたい気持ちも
どこかにあるような気もする、今今のことです
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