逢えてよかったひとなんていない、とぼくは思ったんだ/ピッピ
 
、ぼくは軽々しく、きみにキスをする。
たぶんそんなことをしたって、納得してくれるはずがない。
でも、やらないよりは、よっぽどいい。


きみが離れていっても、ぼくが困らないんじゃないかって、
たぶんきみはそう思ってるんだろう。それは、まちがってるよ。
ただ、どうして困るかが、きみと考えているのとは、少しちがっているかもしれない。
ぼくは、きっとひとりでも生きていけるよ。そして、きみもだ。
となりのタカさんとケイさんも、かかあ天下のパン屋のジミーも、みんな。
だけど、彼らは、相方を、ぼくにとってはきみを、失ってしまうことで、
世界がとても広くなってしまうんだ。要するに、余計な人
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