逢えてよかったひとなんていない、とぼくは思ったんだ/ピッピ
 
な人に干渉される。
ひとは愛することで、世界をせまくしているんだよ。故意にね。

あら、それは、恋とかけているの?

そうだよ、よく気付いたね。恋は、故意に世界をせまくするために、
ひとが落ちなければいけないトラップなんだよ。そして、ひっかかったのがきみだ。

そうなんだ…。

もちろんトラップにひっかかったきみを食おうとか、そんなことは考えていないよ。
愛は必要なんだ。でも、それがいいとは思えなかったんだ。

ふうん…。

帰ろうか。

そうだね。


世界に誰もいなかったら、きみを失っても惜しくないんだろうか…。
きっときみに干渉されたくないために、やっぱりきみを愛するんだろう。
さよならが、夕日で薄くのばされていくころ、
ぼくらは別々の生物みたいに、接点もなくすぎさった。


戻る   Point(5)