逢えてよかったひとなんていない、とぼくは思ったんだ/ピッピ
な人に干渉される。
ひとは愛することで、世界をせまくしているんだよ。故意にね。
あら、それは、恋とかけているの?
そうだよ、よく気付いたね。恋は、故意に世界をせまくするために、
ひとが落ちなければいけないトラップなんだよ。そして、ひっかかったのがきみだ。
そうなんだ…。
もちろんトラップにひっかかったきみを食おうとか、そんなことは考えていないよ。
愛は必要なんだ。でも、それがいいとは思えなかったんだ。
ふうん…。
帰ろうか。
そうだね。
世界に誰もいなかったら、きみを失っても惜しくないんだろうか…。
きっときみに干渉されたくないために、やっぱりきみを愛するんだろう。
さよならが、夕日で薄くのばされていくころ、
ぼくらは別々の生物みたいに、接点もなくすぎさった。
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