うみのほね/田中修子
れ下がっていて、黒板には色とりどりのチョークで「おかえり」と書かれていた。黒板が赤や黄色や白でびっしり埋まるまで、「おかえり」の嵐だった。ただいまぁ、とみんなで言った。同窓会だからみんな晴れ衣装を着ていた。振袖や紋付袴、ウェディングドレスやタキシード。仮面をつけている子たちは元苛められっ子に違いない。教室の隅に固まっていた。
仮面をつけて怯えているような子たちに、貴様らはたるんでいる、と英語の教師が言った。なんだ、その姿は。そういいながら、華やかな格好の子達も蔑んだ。物理の教師は片端からクラスメイトを殴っていく。私も何発か殴られた。歯が折れた。国語の教師は延々と百人一首を朗読している。李のこと
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