うみのほね/田中修子
 
なんという、のだっけ。
 父にも母にも、真さんにもそうして李にも、呼ばれたことがない。
 あなた、お前、君、学籍番号。
 私の名前は、なんというのだっけ。

「……名前、忘れちゃった」
「帰ってきたら、俺が付けてあげる」
 キスをした。

 同窓会の開催場所は、彼と出会った都市の片隅の、今はもう使われていない校舎だった。ビルの何フロアーかを使うものではなく、校舎があって体育館があってグラウンドがある、伝統的だった中学校で、最後の子どもたちであった私たちが卒業し十何年か保存されていたらしい。
 私たちはクラス別に分けられ、使っていた教室へ行った。教室には折り紙の鎖がいくつも垂れ下
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