うみのほね/田中修子
の中で彼と体をくっつけながら、一緒にご飯を食べる。彼と私はお互いに子供になる。お互い、自分のしてほしかったことを相手にしてあげると、自分の中の子供も一緒になって喜ぶのだ。だから私たちは何時間も抱きしめたり、撫でたり、ぶったり、それから仲直りをしたりする。世界が2匹の上にかぶさって潰そうとするような冷たさを味わい、お互いにお互いを護りあうのだ。
その中で、彼の手首に太い肉芽が盛り上がっているのに気付いた。
そのときはお互いの身体のすみずみまで、目を瞑って柔らかく撫であうことをしていた。性的な意味はこめないで、柔らかいパンに気をつけてマーガリンを刷り込むときのように、愛情さえも皮膚に塗
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