うみのほね/田中修子
 
もスカートのまま膝までつかって、彼が波に揺られているのを見ていた。スカートを、まるで生き物のようにゆらゆら躍らせながら、海水は冷たく脚を撫で、まるで最果てみたいだと思った。ふと、意識がとんだ。
 気が付くと彼は私からだいぶ離れたところまで漂っていた。私は叫んだ。最果ての向こうには何があるのだろう。遠くの海を見た。うねりが重なっているのか、水平線は幾重にも歪んで重なっていて、砂漠に住んでいる人の壁なんてありそうになくて、ただ空虚だった。私は叫び続けた。そして彼の手をとり、足を重くして縋りついてくる海から逃げ出した。境界線を越えてはいけないのだ。ずっと走った。街の中心、私たちの住処がある貧しいアパー
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