うみのほね/田中修子
をすり減らしながら働いていたのだろう。もう、よく分からない。
「あなたは昔の人のように頭が良いのね。羨ましいな」
と言った。彼は又、寂しそうに笑った。
部屋に帰って、盗んできたものをむしゃむしゃと平らげた。かれがトマトサンドに味噌汁を浸して食べていたので、私は自分のハムときゅうりとからしマヨネーズサンドイッチを、横からそっと浸して食べた。
食べているうちに眠くなるような味だった。
デスクの上のマットレスに這い上がり、うとうとした。隣に彼が滑り込んできて、お互いがお互いを猫を撫でるようにして眠った。
朝起きると、二人で部屋を探しに出かけた。私はちゃんとした調理台が欲し
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