うみのほね/田中修子
ので二人で下まで降りて、ビジネス街の真ん中にある巨大な弁当屋を尋ねた。
弁当屋は24時間営業で、とてつもなく広く、弁当と人で混み合っている。ハムときゅうりとからしマヨネーズのサンドイッチが私の頭くらいまでのピラミッド型に積み上げられているが、てっぺんは風に削れたように平らだ。他の人が少しずつ取って行ってしまったのだ。私はうやうやしく、サンドイッチのピラミッドを削りとり、長蛇のレジに向かう列に並ぶ。
彼はトマトサンドとカップ味噌汁を持ったまま、レジを通さないで店の外に出て行く。私は慌てて彼を追いかけた。
「ねえ!お金……」
「この世界で金がまともに通用していると思うのか? もう誰も覚
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