うみのほね/田中修子
 
きらきらと泡がたつ、その中には虹色の光。
 清潔な香りのその泡で、ぼろぼろのもうダメな服も洗って、あとで自分の体を拭う時のタオルにした。裸になってさっぱりしたときに彼が来たけれど、私はしたくない気分だし彼もそうだったので、彼の体を拭いてあげた。
 二人ともおかしいほどごそりごそりと垢が出る。彼も私も着るものがなかったから裸のままフロアーを回って日当たりのいい場所に服を干した。ブラインドのないガラス越しに日差しを直に浴びると、面白いくらいに服がカラリとかわいていく。
 少し経つともう、二人でふかふかの服を着ていた。その頃には外に夕闇が下りて、隣のビルの明かりが冷たく灯っていた。お腹が空いたので
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