またね!/もっぷ
通帳が届いた。父が仕事から帰るのを待って(父はその頃まだ、旧知の恩人――だと教えてくれていた――の店で修行中だった)二人で母からの手紙を一緒に読み始めた。父に宛てた言葉はなかったが、それでも父には伝わるものがあったようだ。しかしその傍らで実は最初は手紙を読み飛ばすように眺めていただけの私は、本当は手紙よりも通帳のことが気になって仕方なかった。名義人のところにはどのようにしてそうすることができたのか、私の名前が正しく印字してあったのだ。しばらく言葉を失っていたかのような父が気づいてくれて、「ごめんごめん」と多少の疲れを隠せずに、それでも父親としての自分を思い出したかのようにいつものほがらかさと微かな
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