またね!/もっぷ
だったあの頃の私にはあらかじめ知り得るすべもなかった、いまの、堅実な社会人としての?家庭?を持ってこその平穏な毎日、やがて週末、嫁さんが整えてくれる居心地の良いこの世界を現実を守るためならどんな邪魔が入ろうとも闘い抜きこの確かな現実を決して――そこで私はまったく我に返った「赤ちゃんが!」嫁さんは間違いなくそう言った。
私たち夫婦はおよそ半年ほどの時間を費やして真剣に話し合った末に、里親としての道を歩む決意を固めていた。必要な届け出などを済ませに次の連休にこそきっと二人で一緒に出向こうとさえしていた、その矢先の、あまりにも突然の、もちろん嫁さんにとっても?あまりにも突然の?主治医からの、あた
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)