レモンジュース・ダイアリー(2)/由比良 倖
 
そのまま滝にして木のベンチを置いてあるところがあって、私はそこに腰かけてジュースのタブを開けた。ポケットの底にいくつか錠剤が残っていたので、それを飲むと落ち着いた。水の音がさわさわ鳴っていて、その傍の床には丈の短い草が生えていて、何かのつぼみが揺れているのが見えた。花が咲くと、誰かが持って帰る。透明な花も咲いているらしくて、それは光の加減で私にはたまに見える。何かが虹色に光ったように見える。

部屋に戻ると煙草を吸って、料理を作って食べた。薬は飲まずに待っていた。昼近くになってやっと、城井さんが部屋にやってきた。青いギターケースを抱えていた。「触ってもいいの?」と思わず言ってしまうくらい、その
[次のページ]
戻る   Point(1)