Miz 23/深水遊脚
 
にくいぶん余計にその戸惑いに逃げ場がなくなって、ダメージは溜まる一方でした。それが指揮命令の系統を守る意識を植え付けるための指導だということは、いまは分かります。当時はほとんど理不尽に対する怒りしかなかったんです。片桐に愚痴を聞いてもらっていなかったら、耐えられなかったと思いますよ。片桐は冷静でしたね。私の愚痴に同調も反論もせずに受け止めてくれた。」

静かで、でも心の底から燃え上がるような怒りを含んだ声だった。最初は探るような口調だったが、しだいに滑らかになり、そして激しくなっていった。低音を多く含んだ声も、こんなに長く話すことも、青山くんには珍しいことだった。何て返してよいかわからなかった
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