木槿/あおい満月
 


何故、それほどまでに、
私の世界と自分の世界を、
断ち切ろうとするのか。

あなたに理解をされない人生ほど、
寂しくてやりきれないものはないのに。

声はどんどん大きくなる。
私は鼓膜に痛みを感じて、
耳を塞ぎながら叫ぶ。
(助けて!)

**

(どうかなさいましたか)

振り返ると、
白い扉が開いて、
白い服を着た看護師さんのような
女性が現れた。
手には一輪のカーネーションによく似た
花が入った小瓶を持っている。
(あなたは誰ですか)
彼女は微笑むだけで、
何も答えない。
(もうすぐ夜になります。
この花に願いを込めながら、
この
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