姫たちのお茶会 上/るるりら
望が ゆれる
人里離れたレストランのオーナーが 開けようとしているのは
暗号をとじこめたゼンマイの壺
大切に匙で掬っているのは
蕨と龍とがおしゃべりしてるようなペーズリーが
丁寧に煮られて透明をまとった勾玉たちになったから
テーブルの下で傷つき
ぶっきらぼうに寝そべるタイプライターが記憶しているのは
時間と空間の錬金術
そのうち庭の生簀の水槽にはねる錦鯉が空を泳ぐころには 薔薇も咲くだろう
この陽気じゃあながいながい風の楽器に誘われて
白鯨だって遊びに来るかもしれないね だけれど今は ラズベリー
ベリー血のさわぐストロベリー ケーキといっしょに
最後に
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