姫たちのお茶会 上/るるりら
後に運ばれてきた花のお茶は、飴を溶かしたような薫りだよ
魔法のような味
だけど ここのご主人は魔法使いなんかじゃないんだなあ
隣のテーブルの脚をごらんよ
錆びたケーキの型を接着剤で留めて高さ調節してある
近所にこんな店があったなんて素敵ねなぁんて ふたりでおしゃべりしていたら
大航海時代の船の中みたいに わたしたち同じように ゆれた ら
オーナーの てのひらから 空き缶が捨てられた
色あせた常盤色の缶詰には古いカードを思わせる絵柄があり
1694年と刻印されていて そこに描かれている姉妹もまた
わたしたちと おなじように ゆれていた
********つづく**********
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《姫たちのお茶会 2016年四月企画の幻想詩30への投稿作品
【人間関係】/姉妹【舞台】/時間が交錯します》
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