姫たちのお茶会 上/るるりら
ハイバックの助手席じゃあ
帽子のツバが すこしむずかしい
すこし雨滴のあとの残る車窓から見える景色は
映写機のように枠のある動画
だけれども携帯の電池なんて いらないよ
幸運にも にわかに咲いた桜さくら さささと 風に舞うのを
仰向けで空を見ているレンギョウも 菜の花も
谷合いの町のいたるところで咲く
しばらく 首をかしげたりすると腹痛になっちゃいそ
まるで押入れにとじこもる子どものように
腰をかがめていたのだけれど ついに到着
霧の夜でリンスした髪を 自由にすることにした
車を降りたら
傘のようにふくらむスカーチョは たふたふ
小ぢんまりとした変身願望が
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(10)