ちいさな 三つの声/るるりら
 

【こめる】

ちいさな人が ちいさな声でいった
「あさがおは かさ みたい」
くるくるたたんでいる花は かさみたい
雨の日にひらくと かさみたい

ちいさな傘から
ぬーと わたしのほうに出てきた手のひら
あの おさない手は 傘みたい



【ぺこり】

いつからか心の中で 
しかられたときは ぺこりと 言ってきた
おじぎをしながら 二度としませんといいながら

わたしが れんげの花を好きなのは
父さんの つくりかけのブロックの穴に
わたしが根の付いた レンゲのつぼみを 植えても
すこしも しからないで
花が咲くまで 
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