貼り紙世界の果て/カンチェルスキス
ドブ掃除、と閃いたからである。ドブさらいと呼ばれることもある、面倒くさいあれである。
町内の決まりごととして、定期的に行われる行事なのだろう。あの一枚書きは、住民への周知だったのである。
謎解きは凡庸な答えに落ち着いたが、私の中の溝堀熱は消えなかった。
「溝堀は、見かけによらず、油の中の唐揚げを素手でつかんでも平気―」
というのも、実家が中華料理屋で、その手の作業に慣れていたからである。
架空の物語の中で、溝堀が一人歩きしていく―。
私が暮らすずっと以前に、その橋は架かり、私の見知らぬ人たちを往来させていた。その橋を曲がってすぐに、掲示板が設置されていた。何度となく通った
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