沸点六度八分/もり
 
んと聞こえてます 舌打ち

このなかで 「セックスしたいなう!」って叫ぶように呟きたい
ひとがどれくらいいるでしょう
とはいえこんなぼくも
本当は詩よりも叫びたいことがある
彼女キボンヌ!
たったひとりのきみキボンヌ!
詩なんか理解してくんなくたっていい むしろ詩を忘れられるように歩いてみたい ひとつずつ
ひとつずつ 脱ぎ捨てていくように
セーヌ川のほとり
ぼくは上着を流して
エッフェル塔の先っぽに
Tシャツをひっかけて
きみはシャンゼリゼ通りで思い出や後悔や希望の類が詰まったカバンをひったくられて
ふたり一緒に
ルーブル美術館で残りのすべてを
脱ぎ捨てる
きっ
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