風の寅次郎/服部 剛
 

葛飾区民センターの和室で
僕等は持ち寄った詩をひとりずつ朗読した

ある者は

「人間はそれぞれに
 どこか不完全な楽器のまま
 自分らしく奏でる音色は美しい」

と読み

ある者は

「今夜はひときわ星の輝く夜だ
 寂しい背中で家路に着く全ての人に
 星が優しく笑いかけたらいいな」

と読み

ある者は

「お寺でお祈り終わったら、かくれんぼしよ!
 と言って賽銭箱の前で
 ぎゅっとあわせた手をおでこにあてている
 男の子と女の子の後ろから
 仏さまのまなざしのような
 あたたかい陽(ひ)ざしが降りそそいでいる」

と読み


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