Miz 8/深水遊脚
ートを手にとって読み始めた。つたない詩が殆どだったが、ひとつひとつ手触りを確かめる言葉の綴りかたが心地よかった。一通り読み終えたあと、書き加えた。
「置き手紙」
私を知る前に
知る人のように振る舞う
青く透き通った焔は
私ではない誰かのため
宛先のない空間のため
疑問符の使い方を覚えたら
目を閉じて本当の闇に向き合って
誰かを求めないで歩みを止めないで
いつの間にか隣り合わせた人に
何も奪うことなく語りかけてみて
鮎川紫乃
書き終えて彼に手渡した。彼の顔は分かりやすい。どうやら私の気持ちは伝わったようだ。
「素敵な焔の演出をありが
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