Miz 8/深水遊脚
りがとう。私に支払いをさせて。」
答えは聞かずにマスターに声をかけて支払いを済ませた。帰りながらいつも珈琲豆の注文に使っているアドレスにメールを打って、今日のことを問い質そうとしたが、打っている途中で気持ちが醒めてきた。好きな女性がいて、思いを告げるために彼はお店に相談して場の雰囲気を盛り上げてもらった。そんなマスターと彼のやりとりに全く落ち度はないのだ。彼は彼なりに好きな女性のために張り切ったし、マスターはお店としてそれを応援した。たまたま彼の意中の女性がこのお店の常連客である私だった。そして彼のアプローチの仕方は私と相性が悪かった。それだけのことなのだ。
ところでノートのなか
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