Miz 7/深水遊脚
 
て根本的に憎しみを抱き、どんなに親しくなっても心の奥底にある警戒心を消せなくなったのは。そんな悶々とした感情を抱えながらやって行けるほど、チアダンスは甘くなかった。退部したあとはダンスと筋トレの習慣だけが残った。体を動かすことは変えようのない習慣であったし、思考だけに嵌まり込む私の安全弁になっていた。会話相手の薫子を永久に失った穴は、映画や小説を貪って空想の薫子に批評させることで必死に埋めていた。薫子の色が感じられる批評以外は受け付けないほど視野は狭まっていて、他人とのコミュニケーションに支障を来していた。

 思考だけに嵌まる状態から逃げる手段は、ダンスと筋トレ以外にもたとえば受験勉強だった
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