Miz 7/深水遊脚
 
ったり、大学の試験やレポートだったり、いっぱいあった。寂しさを満たすために意にそぐわないグループに属したりということもなかったけれど、周囲の悪意にはそれなりに遭遇することが多くて悩んだりもした。それでも薫子の不在という圧倒的な絶望の前にはどんな悩みも葛藤も小さな波だった。貪り読んだ小説や映画の話を小出しにすることで親身になってくれる人を何人か得て、そつなく人間関係はこなしていたと思う。

 性についてだけは違った。興味はあるもののそれを実現する誰かに出会うことはとても難しかった。男性のことは嫌いだった。でも女性の誰かとそんな関係になることに現実味はなかった。探り合いに終始するばかりで心身ともに
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