しらす/
あおい満月
(誰かが見ている)
そんな気配で
窓を振り返ると
一匹のしらすの目があった。
思い出した、
弁当箱いっぱいの
ぎらぎら光るしらすたちの目を。
しらすの目は、
帰りの車内にもついてきて、
どこか異国の言葉で話しかけている。
人々は皆、
警戒の旗を振りかざして
しらすを避ける。
だから子どもは、
怖がってしらすを食べない。
食道の水路を通って
腹のなかで膨
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