黄金虫/あおい満月
 
の窓越しの空には、
童話のような、
見覚えのある細い月が浮かんでいる。

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一人急ぎ足で帰る夜は何度目だろうか。
背後から誰かの黒い自転車が、
割れた硝子瓶を持って後をつけてくる。
そんな想像が、
両手一杯にひろがって
呼吸を荒くさせる時間が。
家に帰りついて
一本の冷たいペットボトルを飲み干すと、
今度は笑いが漏れてくる。
顔のない笑い。
笑いは腕
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