私小説/がらんどう
る。その努力に敬意を払うべきなのだろう。俺に向けての努力ではないのだが。
テレビの画面上では、やはりミニスカートの若いタレントが携帯電話のコマーシャルをやっていた。残念ながら俺は携帯電話を持たないし、持つ気もない。残念ながら持つ必要がないのだ。はい、さようなら。俺に見えないところで勝手に宣伝をやっててくれ。俺はチャンネルを別のニュースにかえる。すると「景気に再び減速感」という見出し。景気は未だ回復しそうにないということだ。もとから景気回復というのが嘘なのだが。そんななか、大幅に社員の首を切った自動車会社の業績が良好とのこと。すばらしい。これが企業努力というやつか。俺はウェルズの『タイムマシン』で
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