アボ太郎/もり
 
はその昔伝え聞いた『桃太郎』のような展開に淡い期待をよせていたのでした。
「あんなんは迷信じゃよ、ばあさん。それより明日から、わしは川上でもっとアボカドを探してくる。それで一儲けしようじゃないか」
おじいさんが夢見る少年のような小踊りをかましたそのとき、
かたわらに捨ててあったアボカドの種がいきなりパチリンッ、バチバチッ!!と弾けました。
「うわぁあああーっ!!」

なんと種の中から、赤ち・・いや、小さなオッサンが出てきたのです。
「うっ、うぉぉぉぉーうぉーっ!!きたきたきたよきたようっ!」おばあさんがふだんより2トーンほど高い声で、バシバシおじいさんの背中を叩きながら叫びました。お
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