五反田にいた頃/番田
私は昔何を望むわけでもなく、その日暮らしのような日々を過ごしていた。ある日私は失業し、コストを削る生活をしていた。しかし、そのときの私はまだ若かった。私がラーメン二郎で出されたラーメンを食べている横顔を知る人はだれもいないだろうけれど。当時はまだ、友人の数は今ほど少なくはなかった。たずねてきた友人とは何をしたのだろう。良く覚えていない。どちらにしても、あの部屋の中から千葉に引っ越しできた時には救われた気がした。私は昔、五反田の山手通りからほど近いマンションの部屋に住んでいた。暗すぎる闇の中で電球の明かりを灯して、夏の暗い夜を時々、葉巻を吸いながら過ごしていたのだ。食料が無くなれば近くのスーパーの明
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