五反田にいた頃/番田 
 
の明かりを求めて、虫のように買い出しに出かけた。家賃が安いのにガスコンロがついていたのは救いだった。暇があれば、近くに写真撮影のモチーフを貸し出しする店があったので、そこのガラスの前にぼんやり立っていた。剥製や、奇妙な形のシャンデリア、インテリアなどを人気の絶えた通りに立って見つめていた。ある日私は思い立ち、寒い冬の風の吹く中を、自転車で二郎ラーメンを食べに出かけた。それは安い上ボリュームが凄かった。友達と金もないのにバイク屋の地下にあるスタジオで楽器を演奏させてもらったこともある。まだロックへの微かな夢を一人で抱いていた。カレー食べ放題のチラシを見て、そこにわざわざ出かけたこともある。たどり着く
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