初めて大海へ漕ぎだす君へ/Lucy
 
社会人の切符を手に入れて
孤独な戦場に出ていく君は
もちろん希望と自信を
瞳に漲らせ
不安を乗り越えていく

おめでとう
母さんは
君の速さで歩くことさえ
もうできないのに
心配ばかりが胸を塞ぐ

今頃どこまで行ったでしょう
電車の時間に間に合ったかな
失敗して怒られて挫けてないか
お腹がすいていないだろうか

働き始めた頃の自分が
昨日のように
思い出される

つぶれた紙飛行機のように
ぐしゃぐしゃになったプライドを抱いて
布団をかぶった夜の事
情けなくて悔しくて
たやすく流れる涙をなんとか止めようと
闇雲に歩き回りながら
屋上で見上げた空の
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