連詩〜とよよん様と〜「被災地を知らない私たち」/黒木アン
人がいる
里山に
海風が流れるときに
囁くヨシ原や
ワカメを炊いた
母さんの手を
知らなかった
もうすぐに来る
曖昧な
あなたの日には
樹木も吐息を
揺らすのでしょう
肉体は仮の宿
一身では気づかぬ
実体に
いつの世も
泣き犯し
また生まれくる
地球が木星に
守られていることを
学ばなければ
あなたを守るものが
わからない
心の旅路の
果てにある
秘密の地が
めぐりくる
つぎの時ならば
どうぞそのときに
また
川の名と
山の名を
教えてください
被災地をしらない
私ですから
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