連詩〜とよよん様と〜「被災地を知らない私たち」/黒木アン
 


あなたの命が
あるだけで
その尊さに
身震いします


宇宙のいとなみは
数十億年

そのなかで
地球のみの
人としての生

貴い命の連綿に
あなたの宿を
想うのです

故郷の岸を
離れたひとたちは
幾月すぎようとも

想うは名もしらぬ
遠き島では
ありませんもの

心の宿に帰りたいと…


あな恋し
ふるさとよ
零れる悔しさと
沈黙の町は
待っているのね

焼き魚がのる
ちゃぶ台で
大漁に酌み交わした
酒の味を
もう一度と

つつましく
処理されぬ灰色の
仮の宿をみながら
今日を生きてる
人が
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